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kudo-strategy-houshin

このスキルの正体

「戦略や企画を考える」動詞群1の子スキル。親kudo-mitateの成果(4要素1枚絵=世の中の現在地と必然性)を入力として受け取り、戦い方の指針=戦略を7要素で組み立てる

目的語: 戦略(7要素の型)

親子関係: - 親:kudo-mitate(mitateの成果が必須の入力) - 子(孫):kudo-marketing-strategykudo-brand-architecturekudo-brand-lens(戦略を専門領域で実装) - 辞書型孫:kudo-strategist-lens-library(外部戦略家16名のレンズ辞書。Canon外論点や別アングル考察時に併走起動)

やること: - 7要素フレーム(PPTX由来)に戦略を分解して言語化する - 7つの不明確を点検して戦略の穴を埋める - 3つの方針提示作法(先回り否定・対比フォーマット・意思決定可能化)で戦略を磨く

やらないこと: - 見立て(mitateの担当) - マーケ専門領域のSTP/4P/CEP(marketing-strategyの担当) - ブランド構造の記憶の箱・版木(brand-architectureの担当) - ブランド診断(brand-lensの担当)

起動条件

必ず起動: - mitateで見立てが立った直後(戦略を組み立てる段階) - 既存案件で「方針が定まらない」「戦略の必然性が弱い」と感じたとき - 孫スキル(marketing-strategy / brand-architecture / brand-lens)を起動する - 孫スキルから起動されたとき(子が親を呼ぶ原則)

前提条件: - mitateの成果物(4要素1枚絵)が手元にあること。無い場合は先にmitateを起動する。


中核フレーム:戦略思考の7要素

戦略は、課題のジャンルや業界業種を問わず、7つの問いに分解して考える。1つでも明確に答えられない項目があれば、戦略には「不明確」が忍び込んでいる。

7つの問い

Q1. 主体X≒自分自身やクライアントが、切実にやりたいこと
    ≒願望・目的(Goal/Vision/Mission)は?

Q2. 動かしたい客体Y≒ターゲットは?
    彼らが現在に抱く「今のキモチ」(Perception Now)は?

Q3. 戦略が上手くいった先の未来で、客体Yが抱くべき
    「未来のキモチ」(Perception Goal)は?

Q4. 課題・バリア≒「理想・未来」と「現実・今」のGAPを生む原因
    (Challenge)は?

Q5. 資源・リソース≒今回の戦略で使用するヒト・モノ・カネ・情報
    (Resources)は?

Q6. 基本方針≒作戦。戦い方を明文した命令文
    (Direction)は?

Q7. それに則った具体策・アクション
    (Action, ToDo)は?

戦略ナシに潜む「7つの不明確」チェックリスト

戦略を点検する際、以下のいずれかでも該当したら、その戦略には不明確が残っている。

  • ① プロジェクトを通じて、自分(主体X)がやりたいこと(願望・目的)が不明確 or ない
  • ② 動かしたいターゲット(客体Y)や、その人が抱くキモチが不明確
  • ③ 理想の未来におけるターゲットのキモチが不明確
  • ④ 課題(理想と現実のGAPを生む原因)が不明確
  • ⑤ 資源(戦略実行で消費する)が不明確
  • ⑥ 基本方針(資源を使って、課題を乗り越えるための戦い方の大方針)が不明確
  • ⑦ 具体策(方針に則ったアクション)が不明確

7要素とmitateの接続

mitateの4要素(動態変化/本当の敵/受け手のセリフ/数字)は、houshinの7要素に以下のように接続される:

mitateの4要素 houshinでの活用先
動態変化(BEFORE→AFTER) Q2(Perception Now)×Q3(Perception Goal)の差分定義
本当の敵 Q4(Challenge)の核
受け手のセリフ(BEFORE) Q2(Perception Now)の高解像度化
数字 Q4の裏付け/Q5(Resources)の判断材料

mitateで立てた4要素1枚絵を見ながら、7要素を埋めていく。

評価のNG

「(トータルとして)面白いね!」は禁句。7要素ごとに「ドコがイケてるか/ドコがショボいか」を、他人に説明できる言葉で把握すること。


方針提示の3作法

7要素を埋める瞬間、特にQ4(課題)・Q6(基本方針)・Q7(具体策)を磨くときに、以下3作法を意識する。これらは「読み手の脳内反論を先回りして無効化する」ための共通動作。

作法1:先回り否定

ターゲットや読み手が抱くであろう違和感・拒絶反応を、提案する側が先に書き出してしまう。これによって「あなたの懸念は分かっている」と示し、結論への抵抗を予防接種する。

起動の問い: - このターゲットがいま抱いている違和感・本音・諦めは何か? - 読み手が「こう思うはず」というネガティブ反応を、先に書き出せるか?

事例: - NewsPicks GINZA:「足を運びづらい/単なるビジネス情報はWEBで十分/意識高い系でダサい」を先に書き出してから、「だからBusiness MUSEUMが必要」へ転換 - TOKYO PRIME:「老舗じゃない会社の周年企画はダサい以上に意味不明」と先に否定してから、「だから次の10年宣言」へ転換

作法2:対比フォーマット

「Aではなく、B」「BEFORE→AFTER」「Aでは敗れる、Bならば勝つ」という構造で、論証なしに必然性を生む。Aの欠陥を見せれば、Bの正当性は自動的に立ち上がる。

起動の問い: - 進むべき道(B)に対して、避けるべき道(A)は何か? - BEFORE状態とAFTER状態を、対比で書けるか?

事例: - 一番搾り:本質的でタイムレス(B) vs 前時代的でダサい(A) - AQUA:プリウスは過去・AQUAは未来、AQUAは「クルマ」ではなく「選択肢」 - MUFG:「One of Them」(A) vs 「王道×自分のモノ×革新性」(B)

作法3:意思決定可能化

抽象議論を、クライアントが「どれにしますか」と選べるN択の選択肢セットに変換する。「他にあるのでは?」という反論を封じる。

起動の問い: - いまの議論は、N択に圧縮できているか? - クライアントが「これとこれの違いは何ですか」と選べる状態になっているか?

事例: - MUFG:「方向性1〜4」のブランド体系図で、ブランドXの位置を意思決定可能に - AQUA:「戦略A/戦略B」の分業で予算配分を決定可能に - サンマーク:「SONYは◯◯/サンマークは△△」の穴埋めで議論を収束

3作法の使い分け

  • Q4(課題定義)を磨くとき:作法1(先回り否定)が最も効く
  • Q6(基本方針)を磨くとき:作法2(対比フォーマット)が最も効く
  • Q7(具体策)を磨くとき:作法3(意思決定可能化)が最も効く
  • すべてに共通:1つの作法でも作戦の説得力は上がる、3つ重ねれば必然性が立ち上がる

標準ワークフロー

Step 1:mitateの成果を確認 親スキルkudo-mitateの成果物(4要素1枚絵)を入力として確認する。無ければ先にmitateを起動。

Step 2:7要素を埋める Q1〜Q7を順番に埋めていく。mitateの4要素を該当する問いに割り当てながら進める。

Step 3:7つの不明確を点検 チェックリストに照らして、不明確が残っていないか確認。残っていれば該当の問いに戻る。

Step 4:3作法で磨く 特にQ4・Q6・Q7を、作法1〜3で磨く。「読み手の脳内反論」が無効化されているか確認。

Step 5:孫スキルへの引き渡し - マーケ戦略の専門領域に進むなら → kudo-marketing-strategy - ブランド構造の設計に進むなら → kudo-brand-architecture - ブランド診断が必要なら → kudo-brand-lens - 各孫スキルは、本スキル(houshin)と親(mitate)の原則を必ず参照する


Q別 外部理論・フレームワーク辞典

7要素の各Qを検討する際、「手持ちの暗黙知だけでは足りない」と感じたときに参照する外部の理論・フレームワーク群。型を守る(=正しく使う)→ 型を破る(=工藤流に翻訳する)の順で活用すること。

Q1:願望・目的(Goal/Vision/Mission)

理論・フレームワーク 提唱者/出典 核心 工藤流の使い方
BHAG(Big Hairy Audacious Goal) Collins & Porras『Built to Last』 10-30年の大胆な目標が組織を駆動する Pre-POSITIONINGの「まず叫ぶ」を組織レベルで構造化するときに
パーパス経営 複数(Sinek, Mourkogiannis等) 「Why」から始める/利益を超えた存在意義 brand-lensの「パーパス機能性診断」と接続。額縁か武器かを判断する材料
ミッション・ビジョン・バリュー Drucker / 一般的経営理論 使命→理想像→行動指針の3層構造 3記述構造(名詞/動詞/形容詞)との対応で検証
イシュードリブン 安宅和人『イシューからはじめよ』 解くべき問い=イシューの質が成果を決める Q1を「やりたいこと」で止めず「解くべき問いは何か」まで昇華させるとき

Q2:客体・ターゲット(Perception Now)

理論・フレームワーク 提唱者/出典 核心 工藤流の使い方
Jobs To Be Done(JTBD) Christensen『Competing Against Luck』 顧客は「ジョブ(片づけたい用事)」を雇用する CEPの手前で「なぜその場面でそのカテゴリーを想起するか」を深堀りするとき
エンパシーマップ XPLANE社 顧客の見・聞・考・感・痛・得を6分割で可視化 mitateの動作4「受け手のセリフ化」をさらに構造化するとき
RFM分析 データベースマーケティング Recency/Frequency/Monetary で顧客を分類 Q2の「今のキモチ」を行動データで裏付けるとき
行動経済学(ナッジ) Thaler & Sunstein 人は合理的に選ばない。選択設計で行動を変えられる Perception Nowの「なぜそう思っているか」に非合理的要因を見出すとき

Q3:未来のキモチ(Perception Goal)

理論・フレームワーク 提唱者/出典 核心 工藤流の使い方
ブランド・アイデンティティ・プリズム Kapferer 6面体でブランドの理想像を設計 Perception Goalを「ブランド側の理想」と「受け手側の理想」の両面で検証するとき
ブランド・パーソナリティ Aaker ブランドを人格として5次元で記述 Perception Goalを人格的イメージとして具体化するとき
NPS / 推奨意向 Reichheld 「人に薦めたいか」が最終成果指標 Perception Goalの定量指標を設定するとき

Q4:課題・バリア(Challenge)

理論・フレームワーク 提唱者/出典 核心 工藤流の使い方
イシューツリー / ロジックツリー コンサルティング一般 課題をMECEに分解して構造化 Q4で「本当の敵」に辿り着くまでの分解作業に
ファイブフォース Porter 業界の競争構造を5つの力で分析 「本当の敵」が同業他社ではなく代替品や新規参入にあるとき
TOC(制約条件の理論) Goldratt『The Goal』 システムのボトルネック=制約条件が全体性能を決める 課題が複数あるとき「どれが制約条件か」の優先順位づけに
Double Jeopardy Law Ehrenberg-Bass 小ブランドはシェアもロイヤルティも低い二重の不利を受ける 「知名度が低い」のが課題ではなく「浸透率が低い構造」が課題だと再定義するとき

Q5:資源・リソース(Resources)

理論・フレームワーク 提唱者/出典 核心 工藤流の使い方
VRIO分析 Barney 価値・希少性・模倣困難性・組織 の4条件で資源の強さを評価 Q5で列挙した資源が「本当に武器になるか」を検証するとき
コア・コンピタンス Prahalad & Hamel 顧客価値・競合差異化・展開性の3条件を満たす中核能力 版木(変えないもの)を特定する際の外部検証基準として
95-5ルール Ehrenberg-Bass / LinkedIn B2B Institute 市場の95%は今買わない。将来の想起に投資せよ 資源配分で「今すぐ買う5%」への販促と「将来の95%」へのブランド投資を分けるとき

Q6:基本方針(Direction)

理論・フレームワーク 提唱者/出典 核心 工藤流の使い方
良い戦略・悪い戦略 Rumelt『Good Strategy Bad Strategy』 良い戦略=診断→基本方針→一貫行動の3要素。悪い戦略=目標の寄せ集め Q6を書いた後「これは方針か、ただの目標リストか」を検証するとき
ブルー・オーシャン戦略 Kim & Mauborgne 競争のない新市場を創造する戦略キャンバス 対比フォーマット(作法2)で「既存の海 vs 新しい海」を示すとき
ポジショニング戦略 Ries & Trout カテゴリー内での独自ポジションを脳内に占拠する Pre-POSITIONINGの「まず叫ぶ」と、データ検証による修正の往復に
両利きの経営 O'Reilly & Tushman 既存事業の深化と新規事業の探索を両立する Q6で「守り(深化)」と「攻め(探索)」の両方を方針に含めるべきかの判断に

Q7:具体策・アクション(Action)

理論・フレームワーク 提唱者/出典 核心 工藤流の使い方
OKR Intel / Google Objectives(目標)× Key Results(成果指標)で行動を管理 Q7のアクションに測定可能な成果指標を紐づけるとき
スプリント Knapp『Sprint』 5日間で課題を定義→試作→検証するプロトタイピング手法 Q7が大きすぎるとき「まず5日でここまで検証」と刻むとき
Mental Availability × Physical Availability Ehrenberg-Bass / Sharp 想起の質×配荷の広さの掛け算がブランド成長を決める Q7のアクションが「想起」と「配荷」のどちらを動かすかを分類するとき

辞典の使い方ルール

  1. 型を守る:まず理論の本来の使い方を正しく理解する。誤用は凡庸な結論を生む
  2. 型を破る:工藤流の7要素に翻訳して、Q単位の検証ツールとして使う
  3. 型を離れる:理論に当てはまらない固有の事実が見つかったら、理論を捨てて事実に従う
  4. 混ぜるなキケン:1つのQに複数理論を同時投入しない。1Q1理論で検証してから次の理論に切り替える
  5. 仮説と事実の峻別:理論はあくまで仮説生成ツール。理論から導いた結論は「仮説」として提示し、事実と混同しない

辞書型孫スキル:kudo-strategist-lens-library との連携

上の「Q別 外部理論辞典」が断片的な理論カード集(ロジックツリー/VRIO/OKR等の単位で並ぶ)なのに対し、kudo-strategist-lens-library人物単位のレンズ辞書(森岡毅/音部大輔/Porter/Christensen/Drucker等、16名分)である。目的が異なるため役割分担する。

使い分けのルール:

使う場面 起動するもの
7要素の特定Q(例:Q4課題定義)で1つの理論だけ検証したい 上の「Q別辞典」
戦略案を「もし森岡ならどうするか/もしPorterならどうするか」で別アングル考察したい kudo-strategist-lens-library
Canon外の論点(ターゲット絞り込み/投資配分/組織デザイン/新規事業評価/経営共通言語)を掘りたい kudo-strategist-lens-library(lens一次)
Canon領域(記憶の箱/市場創造/OS性/二項融解/銀河モデル)で補助的にlensを参照したい Canonを一次、kudo-strategist-lens-libraryを補助

併走呼び出しのタイミング:

  • Step 2(7要素を埋める)の途中で、「既存の暗黙知だけでは弱い」と感じた瞬間
  • Step 4(3作法で磨く)の前後で、「別の戦略家ならどう磨き直すか」で反証したい瞬間
  • Step 5(孫スキルへの引き渡し)の前に、「戦略案を1本に絞る前の最終反証」として

フレームワーク完走原則(重要):

kudo-strategist-lens-library を使う場合、1人のレンズを指名したら、そのフレームワークの全要素を満たしきってからコアアイデアを抽出する。要素つまみ食い(ターゲット=森岡/資源=Porter/KPI=西口)は構造のキメラ化を招くため禁止。詳細はkudo-strategist-lens-library §0.2 自己停止プロトコル(S1-S4)を参照。

注意:

辞書型孫スキルは、kudo-marketing-strategykudo-brand-architecturekudo-brand-lens のような実装型孫とは性質が異なる。実装型孫は特定領域の作業を引き受けるが、辞書型孫はあくまで参照資源であり、戦略の主構造は常に本スキル(houshin)と親(mitate)が決める。


NG行動

  • mitateを経由せずにいきなりhoushinに入る(見立てなき戦略は凡庸になる)
  • 7要素のうち1つでも空欄のまま提案を組む
  • 「7つの不明確」チェックリストを点検せず「素材は揃った」で満足する
  • 3作法を「磨き上げの装飾」として捉える(作法は7要素を貫く骨子)
  • Q4で「同業他社」を競合のまま受け入れる(mitateの動作3に戻ること)
  • 孫スキルに入った後、houshinの原則を参照せず固定化する
  • kudo-strategist-lens-library を呼び出したまま、フレームワーク完走原則(S1-S4)を無視して要素つまみ食いで済ませる(キメラ構造を生む)
  • Canon領域(記憶の箱/市場創造/OS性/二項融解/銀河モデル)でlensを一次ソース化する(Canon一次の原則を守ること)

更新履歴

  • v1.1(2026-04-21) 辞書型孫スキルkudo-strategist-lens-libraryへの参照ポートを追加。description/親子関係記述/辞書型孫連携セクション/NG行動を更新。
  • v1.0 初版。7要素フレーム+3作法+Q別理論辞典+標準ワークフロー+NG行動。